ヒューホ・デ・フロート(グロティウス) Hugo de Groot (Grotius)

Michiel Jansz van Mierevelt - Hugo Grotius

Michiel van Mierevelt (1631) In Wikimedia Commons

  • 法学者、哲学者
  • 生年: 1583/4/10 デルフト(蘭)
  • 没年: 1645/8/28 ロストック(独)

生涯

書評のかたちで記載しています。緑が旧版、ピンクが新装版。

 

グロティウス(Century Books―人と思想)

著者: 柳原正治
出版社: 清水書院 Century books 人と思想
サイズ: 全集・双書
ページ数: 227p
発行年月: 2000年10月
定価: 893円

読書メモ

デカルトと並ぶ、八十年戦争時代の偉大な哲学者。実は意外に、日本語のグロティウス関係書籍は少ないです。

オランダ生まれでプロテスタントのグロティウスが、フランスに逃れて生涯を過ごさなければならなかったことに反して、フランス生まれでカトリックのデカルトは、自らオランダで暮らすことを選んでいます。いずれも晩年はスウェーデンがらみで命を落としていることも興味深い共通点です。

前半がグロティウスの生涯、後半がグロティウスの著作の解説です。(正直、後半は難しいので、前半しか読んでません。)

グロティウスはオランイェ公フレデリク=ヘンドリクと友人です。1年違いで同じデルフトで生まれており、10歳そこそこのレイデン大学時代から「ご学友」となりました。その後フランス旅行へも同行したり、帆かけ戦車実験にも立ち会ったりと、とくに若年期は相当の関わりがあります。ナッサウ伯マウリッツ、オルデンバルネフェルトの両名とも顔見知り以上の知り合いで、1617年以降のクーデター騒動期には、共和国の歴史でも主要登場人物の役割を演じます。

オランイェ派からでもなく、レヘント側からでもなく、一官吏というより一学者であったグロティウスからの視点での共和国史です。冷静とも冷徹ともいえる中立な視点で書いてあり、個人的に『グロチュースとその時代―生誕400年を記念して』よりも好みです。グロティウス個人については、「神童」や「天才」という字面とは裏腹に、かなりイタい人物像がうかがえます。弁護士や検察を経験してきたにもかかわらず、いざ自分が裁判にかけられるとなると取り乱したり、ここまでするか?ってほどの自己弁護に終始したり、挙句には親友フレデリク=ヘンドリクの内心を勝手に邪推して逆恨んでみたり。意外な面が多く、楽しく読めました。

リファレンス

  • グロティウス(Century Books―人と思想)
  • グロチュースとその時代―生誕400年を記念して