オランダの国旗
現在のオランダ国旗は、「朱・白・青」のヨコ三色旗です。縦横比2:3、下記の色で1937年に制定されています。複数のカラーチャートで色の規定もされていて、たとえばHTMLカラーでは下記のとおりです。
- 明るい朱色 #AE1C28
- 白 #FFFFFF
- コバルトブルー #21468B
ネーデルランド連邦共和国旗
ネーデルランド連邦共和国の旗は、「オレンジ・白・青」のヨコ三色旗。
「公旗 Prinsenvlag」またはそのまま「オレンジ・白・青」ともいわれ、オレンジ=オランイェ公の色、白=自由への戦い、青=ナッサウ家の色(ナッサウブルー)を表しています。2018年、このウェブサイトのドメインもこのPrinsenvlagをイメージしてみました。
ウィレム一世時代、海乞食によってデン・ブリール占領(1572年)のとき初めて掲げられ、1579年ユトレヒト同盟で、同盟の旗として制定されました。また、1587年以降、ゼーラント州の全ての戦艦がこの旗を掲げるようになりました。オランダ共和国軍の軍旗としても使われています。軍旗の場合、この3色を重ねた6色・7色・9色などのバリエーションがあります。
このオレンジ色は、旗として利用すると色あせしやすいとの理由で、早くも1630年頃に朱色になったといわれています。確かに17世紀後半の英蘭戦争などの絵画を見ると、既に赤っぽくなっています。それでも「真っ赤」ではなく、ややオレンジ寄りの「朱」なんですね。1630年代といえば、西インド会社も設立され、オランダの海の覇権がいっそう強まった時期にもあたりますが、確かにオレンジ色は海風にやられそうです。下記、1617年に描かれたものでも既に朱色寄りです。
この「朱」色が、現在のオランダ国旗に引き継がれています。「オレンジ・白・青」は国旗ではなくなってしまいましたが、現代のオランダ王国の勲章に使われ続けています。たとえば「オランイェ=ナッサウ勲章」は、「オレンジベースに白と青のライン」と定められています。
ところで、「オレンジ・白・青」の青を表す「ナッサウブルー」、HTMLカラーをはじめとして、数値を定義しているカラーチャートは一切ありません。ウルトラマリンに近い、シグナルブルーに近い、など、説明によってもかなり濃淡に違いがあり曖昧です。当サイト内では、この3色の配色を下記の色で代用しています。
- オレンジ #FFA500
- 白 #FFFFFF
- ロイヤルブルー #4169E1
ルクセンブルクの国旗
ルクセンブルクの国旗は、オランダと同じく三色旗。単品で見ると間違いそうなほどよく似ていますが、縦横対比(3:5)と色味が若干違います。現在のルクセンブルク大公国は、ナッサウ=ヴァイルブルク家です。オランダ王家であるオランイェ=ナッサウ家とは、13世紀に系統の分かれた分家同士となります。
国旗制定時、赤と白はオランダのものと同じとされましたが、青のみ、13世紀のルクセンブルク伯の紋章の色を用い、オランダよりも薄い水色とされました。この紋章旗は、現在は船舶旗として使われています。1993年、これらの色がPantoneカラーで規定されました。国旗と紋章旗に使われる色は共通です。この時点で、オランダ国旗と赤の色味も若干変わりました。
- 赤 Pantone 032c
- 水色 Pantone 299c
- 黄色 Pantone 116c (紋章旗のライオンの王冠に使われる)
紋章旗は白と水色のストライプに赤のライオンです。
リファレンス
- 「王立褒章局」 Koninklijke Onderscheidingen
- 佐藤弘幸『図説 オランダの歴史』、河出書房新社、2012年
- 桜田三津夫『物語 オランダの歴史』、中公新書、2017年
- 森田安一編『スイス・ベネルクス史(世界各国史)』、山川出版社、1998年
- 川口博『身分制国家とネーデルランドの反乱』、彩流社、1995年
- 栗原福也「十六・十七世紀の西ヨーロッパ諸国 二 ネーデルラント連邦共和国」『岩波講座 世界歴史(旧版)<15>近代2』、岩波書店、1969年