三十年戦争オール☆スター

2013年にリクエストいただいたお遊び記事です。管理人は毎年オールスター観に行ってます!

オランダとスペインは脇役なので、解説に回ってもらうことにしました。


Thirtywar

ファンの前でガッツポーズをするグスタフ選手(撮影: P.P.R.)

今年のオールスターは、各チームから新戦力がバランスよく選出されたプ・リーグが、球界の盟主オーストリア軍の主軸中心に構成されたカ・リーグにどこまで迫れるかが見どころだ。何といっても話題は、グスタフ2世の二刀流がこの大舞台でどのように発揮されるかだろう。また、ルーキーたち若手の選出も多く、動きのある試合展開が期待される。

奥方様、わたくしは勝利とともにこの手袋をお返ししとうございます。 ――ブラウンシュヴァイク公クリスティアン

三十年戦争オール☆スター
対戦チーム

全カトリック・リーグ(全カ)
flag_es.gif オーストリア
flag_pf.gif バイエルンほか「リーガ」
flag_es.gif スペイン
flag_es.gif 南ネーデルランド執政府
ハンガリー
クロアチア

全プロテスタント・リーグ(全プ)
スウェーデン
デンマーク
flag_pf.gif プファルツほか「ウニオーン」
flag_es.gif フランス
flag_br.gif ブランデンブルク
flag_nl.gif オランダ
勝 敗 ×

ゲストおよび解説陣

8921 Elizabeth-Stuart ボヘミア王妃エリザベス・ステュアート
本戦の始球式を務める国際的人気アイドル。プ・リーグ先発フリードリヒ5世の妻であることから、試合の公平性の観点から選出に一部意義が唱えられていた。始球式の後はVIPルームにて観戦。

Peter Paul Rubens - Self-Portrait - WGA20380 ペーテル・パウル・ルーベンス
実況アナ。本業はジャーナリスト兼写真家だが、フランドル軍の番記者でもある。幅広い人脈から得られた豊富な知識による丁寧な実況と、解説者の発言のスルー力に定評。

After Gerard van Honthorst 002 オランイェ公フレデリク=ヘンドリク 
解説(甘口系)。オランダ軍のプレイングマネージャー。監督兼任事由により、今回のオールスター選出基準からは外れている。父と兄もプロ選手だったサラブレッド。

Retrato del conde-duque de Olivares, oil on copper, by Diego Velazquez オリバーレス公伯爵ガスパール・デ・グスマン 
解説(辛口系)。スペイン軍のベテラン中継ぎ投手。今回のファン投票のオーストリア軍大量組織票疑惑を理由に、自ら出場を辞退している。

試合結果

  1 2 3 4 5 6 7 8 9
全カトリックリーグ 3 1 1 1 0 2 1 0 0 9
全プロテスタントリーグ 0 0 0 3 2 0 1 3 1 10

【バッテリー】

  • (全カ)フェルディナント2世、フェルディナント3世 - マクシミリアン1世
  • (全プ)フリードリヒ5世、グスタフ2世アドルフ、ザクセン選帝侯、リシュリュー枢機卿、マザラン枢機卿、カール・グスタフ - アンハルト侯、オクセンシェルナ

【責任投手】

  • (勝)カール・グスタフ
  • (敗)フェルディナント3世

【本塁打】

  • (全カ)インファンテ枢機卿1号2ラン(6回、ザクセン選帝侯)
  • (全プ)グスタフ1号3ラン(4回、フェルディナント2世)

【戦評】

全体的に、大量得点の見ごたえのある展開となった。前評判どおり、打てばHR投げれば三振のグスタフ2世が本試合の華となったが、負傷退場となりその経過が危ぶまれる。

  • 全カは初回から順調に得点を重ね、5回に一度1点差に迫られたものの、さらに6回に突き放し勝利が決したかに見えた。しかしその後の攻撃に精彩を欠き、サヨナラを許してしまった。先発のフェルディナント2世は苦しみながらも堅調な投球を続けたが、その後のフェルディナント3世が猛攻に耐え切れなかった。
  • 全プは初回からの大量失点を、グスタフ2世の一人5打点で追いつくと、その後の打線が地道に得点を重ね、最終回のサヨナラにつなげた。投手陣は、先発フリードリヒ5世が踏ん張れずに降板、その後安定のグスタフ2世が退場した後、投手リレーによってなんとか持ちこたえた。

今日のハイライトシーン

ペーテル・パウル・ルーベンス (以下「ル」): …いや~、前評判どおりに、というか、それ以上に、エキサイティングな試合になりました。点もずいぶん入りましたね。

オリバーレス公伯爵ガスパール・デ・グスマン (以下「オ」): 全体的に投手がダメでしたな。とくに先発のフリードリヒ5世はひどい。ナニ王子だか冬王だか知らんが、人気だけで実績に乏しい投手を先発にした当然の結果でしょう。

オランイェ公フレデリク=ヘンドリク (以下「ヘ」): あれはちょっとかわいそうだったかなぁ。エリザベスも悪いよね。

ル: 始球式にグローブを落としてしまって、ブラウンシュヴァイク公が拾いにいった件ですか? 彼はエリザベス妃の熱烈なファンを公言していますよね。

ヘ: いやいや、その後、VIPルームでクレーヴン伯と一緒にいたでしょ。あれ、マウンドからも見えてたと思いますよ。ずいぶん球が荒れてましたから。

Sir Peter Lely-An Allegory of Love

VIPルーム(撮影: P.P.R.)

ル: 荒れたといえば、今日は負傷退場者も信じられないほどたくさん出ましたが…。いちばん心配なのはグスタフ選手ですね。

オ: 二刀流だなんていい気になってるからですわ。私も常々言ってたが二刀流なんてフザけた発想が理解できんのです。いいですか、そもそも…

ル: えーと、VTRきましたね! ではさっそく、初回からの流れをハイライト映像で振り返ってみましょう。


1回~3回 (1620-1629)

ル: まずはお二方もおっしゃっていたフリードリヒ5世の立ち上がりですね。確かに、なかなかストライクが入りません。先頭打者のブッコワ伯に甘い球を狙われていきなりヒット、次のマラダス選手には四球を許しています。アウト1つ取ったと思ったら、ここで4番スピノラ侯にタイムリー。一気に2点先制しました。

ヘ: スピノラ、カ・リーグの人気投票では1位でしたよね? 決めるとこ決めてくるよね、ホント悔しいけど。

オ: これくらい4番の仕事だからやって当たり前、至極当然です。ああ、あと、人気投票1位はインファンテ枢機卿ですよ。「スピノラは2番め」です。

ヘ: ……僕の前でよくもまあ堂々とパクるよねソレ……。

ル: おっとここです! この後ティリー伯にも追加点が出て、1回3点です。その後カリーグは2回・3回と順調に点を重ねました。ティリー伯はここまで安定の2安打です。ヴァレンシュタイン選手にも長打が出ています。一方プリーグ側の1回はいいところなく三者凡退でした。

オ: フェルディナントにしてはまあまあの立ち上がりですな。球数は無駄に多いですがね。まあ、マクシミリアン公のリードも良いんでしょう。

ル: プリーグ2回の攻撃にはやや見どころがありましたか。

ヘ: ブラウンシュヴァイク公が先頭打者2塁打で出塁して、その後意味不明の盗塁で刺されてましたね。アレ何でしょうね。ベンチの指示とも思えないけれど。

ル: あれはもったいなかったですね。折角のチャンスがフイになりました。

オ: しかもそのまま負傷退場だ。実に愚かしい。

ヘ: 始球式でヘタに目立っただけにここでのリタイアは恥ずかしいなあ。

ル: けれどその後にもまだチャンスが続きましたね? マンスフェルト伯が3塁まで進んで、ここでホームランバッターのクリスチャン4世が打席に入りました。得点のチャンスです。

ヘ: でもクリスチャン、チャンスに弱いんですよ。ここでは手堅く犠牲フライ打ちましたけどね。…うーん、でもこの映像見てもやっぱり若干浅かったのかな? マンスフェルトのスタートが遅れた? どっちにしてもこれ本塁爆死でしたよね。

オ: そこでマンスフェルトも負傷退場か。本当に愚かしいな。

ル: 3回終了時までには5-0と、完全にワンサイドゲームになりました。


★ここまでのエキサイティングプレイヤー★

Count von Tilly ティリー伯ヨハン・セルクラエス(バイエルン)

名ショートの評判が高いベテランで、ゴールデングラブ章も3回受賞。派手さはないが安定した打率を維持し、意外に俊足でもある。「ユニフォームを着た修道僧」とまで称されるストイックな自主キャンプも有名。


4回~6回 (1630-1635)

ル: さて、中盤4回に入って、プリーグのベンチに動きがありました。ここでまずプリーグは、キャッチャーをアンハルト侯からオクセンシェルナ捕手に交代しました。フリードリヒ5世がヴァレンシュタイン選手のヒットで1点を失ったところで、投手も二刀流のグスタフ2世に変えてきましたね。ところで、オリバーレス伯は二刀流には否定的なようですが…?

オ: 当然です。野球をナメてるとしか思えませんな。

ヘ: 僕もあまりいいとは思えないなあ。グスタフ2世は野手に特化したほうがいいと思うけど。

ル: そうなんですか? 意外です。オランイェ公ご自身も監督とキャッチャーを兼任してらっしゃいますが…。

ヘ: グスタフ選手は投手としては制球難すぎますよ。アレ、オクセンシェルナにしか取れないでしょ。少なくとも僕は勘弁ですね。

ル: どちらにしても今日のグスタフ2世は二刀流の本領を発揮したと思います。4回の3ランから5回にも長打、投げている間も、1本もヒットは許していません。

ヘ: 好調のティリーやパッペンハイムも完全に三振に抑えてましたね。

オ: 逆にここからは、フェルディナント2世に随分疲れが出てきたようだ。塁を埋めてしまうからそこをつけこまれるんですよ。

ル: ただ、5回のここからです。ホルン伯、バネール選手らのつくった満塁のチャンスに、グスタフ2世の長打で2点の追加。グスタフ2世も2塁に向かって全力疾走しますが、ここでセカンドのパッペンハイム伯と交錯。…ここですね。かなり激しくぶつかりました。立ち上がれず、担架で運ばれていきましたね。

Hellqvist - Gustaf II

担架で運ばれるグスタフ選手(撮影: P.P.R.)

オ: …プリーグはどうしてこう血の気の多いのばかりなんだね。巻き添えを食らったパッペンハイムも気の毒だ。だいたいシーズンのことを考えたら、このようなお祭り試合で故障するなんてもってのほかですな。

ル: そして次の回にはピッチャーも交代となったわけですが…ここで驚きました。ザクセン選帝侯を出してきましたね! ザクセンは今年のオールスターに出るかどうか、チームとして最後まで態度を留保していた、という経緯もありましたが。

オ: もともとベンチ要員のつもりで、出す気も出る気もなかったんでしょう。アクシデントだから緊急登板も仕方ない、といったところですか。

ヘ: ベンチ要員ですらなかったかもしれないな。ザクセン選帝侯、この回の出番が終わった後、相手側のカリーグの控え室に行ったまま戻ってこなかったんですよ。

ル: ザクセン選帝侯は登板した6回にインファンテ枢機卿に2ランを打たれています。その直後にカリーグ側にいるというのは、なんだか気になりますね…。

ヘ: あ、いやいや、八百長とかそんなんじゃなく。HRの前にヴァレンシュタインに危険球当ててるでしょ。その謝罪に行ったんじゃないかと。戻ってこなかったのかこれなかったのか…。

Carl Theodor von Piloty - Seni at the Dead Body of Wallenstein - WGA17765

死球を受けて倒れるヴァレンシュタイン選手と駆けつけたフィジカルコーチのセニ氏(撮影: P.P.R.)

オ: いずれにしても、インファンテ枢機卿の活躍にケチがつきかねるような、誤解を招く行為は謹んでほしいものですな!

ル: 6回裏までにグスタフ2世の5打点があったものの、8-5と、依然カリーグのリードで試合は進んでいます。


★ここまでのエキサイティングプレイヤー★

Attributed to Jacob Hoefnagel - Gustavus Adolphus, King of Sweden 1611-1632 - Google Art Project グスタフ2世アドルフ(スウェーデン)

今年より、投手でありながら野手としてもプレイする、いわゆる二刀流に挑戦中。攻撃力の高いスウェーデン軍の中にあっても長打率が高く、野手の適性のほうが評価されはじめている。


7回~9回 (1636-1648)

ル: さて、終盤7回に入ってきました。プリーグはここで投手リレーに入っていきます。変化球セットアッパーのリシュリュー枢機卿を継ぎこんできました。…満を持して、という感じですが、6回にザクセン選帝侯を出さずに、最初からリシュリュー枢機卿を登板させていればとも思えますね? 采配ミスでしょうか?

ヘ: あはは。本人が負けパターンでの登板を嫌がったんでしょう。でもそのザクセン選帝侯も危険球退場だし、嫌々上がったんじゃないですか。でもやるからには皆殺し、みたいな気迫満々に見えますけどね。

Richelieu La Rochelle 1881 Henri Motte 1847 1922

投球前に気合を入れるリシュリュー投手(撮影: P.P.R.)

ル: 7回からはカリーグもフェルディナント3世にピッチャー交代です。

オ: 球数も球数でしたから継投は仕方ないですがね、パワー不足は否めませんな。2世に比べて投球が消極的すぎる。

ル: プリーグの打線も機能してきました。単打と残塁が目立っていたベルンハルト公につながるようになってきた。

ヘ: 選手交代でトルステンソンを出したのが効いたのかもしれないです。今年はスウェーデン軍からの出場が多いですね。

ル: 逆にカリーグの攻撃はぱったりと止まってしまった。ピッコロミーニ公が1点を追加したくらいですか。

オ: リシュリューもマザランも嫌らしい変化球放ってきますからな。並のバッターでは翻弄されてしまうでしょう。

ル: そして8回満塁に代打で登場したフランス軍のルーキー・アンギャン公です。このVTRでも女性ファンの声援がすごいですね。しかし、これが決定的でした! 走者一掃のライトへの3塁打で、一時最大6点差を一気に同点にまで持ってきましたね。

ヘ: 正直、話題先行のルーキーかと思ってたんですが、この大舞台で、案外度胸もあるんですね。今後が楽しみな選手です。

オ: ここでフェルディナントがやる気失くしてしまったんですわ。それでもピッチャー交代しないんですから、もうこの時点で逆転は決まったようなものでしょう。しかしライトのメルシーもこのときスタンドに激突したようだが、一体今日のこの荒れ様は何なんだね。

ヘ: アス○ロ球団並の死傷率になってきたような…。

ル: ええとここで決定的一打!! 9回裏、ノーアウトでウランゲル伯が出塁したところ、続くテュレンヌ選手のヒットでサヨナラとなりました!

ヘ: あれ? これ結局、勝ちは誰についたんですか?

ル: 9回2/3だけ登板した、スウェーデン軍のルーキー、カール・グスタフ投手です。

オ: MVPはアンギャンか…。終わってみれば、わずかしか登場していないルーキーが賞を独占したということですな。オールスターとしてはやや拍子抜けの結果にも思えるね。ベテラン陣は恥と思うべきですよ。

ル: 最初MVPはサヨナラを打ったテュレンヌ選手になるはずだったんですが、ご本人がヒーローインタビューを嫌がって、アンギャン公に譲ったそうなんですよ。

ヘ: あはは。あの子、人前で話すの嫌いなんだよね。今回もヒロインで捕まる前に逃げちゃったんでしょう。

ル: MVPのアンギャン公と、同じく敢闘賞としてテュレンヌ選手には、協賛企業の『フロンド』から特別商品が贈られることになりました。

ヘ: …なんかのフラグな気がするのは気のせいかな…。

ル: おおっと! そろそろ放送終了の時刻です。再放送の予定はありませんが、ハイライトは今夜のスポーツニュース等でもご覧になってくださいね。負傷選手たちの動向も気になりますね。

最後に、本日解説のオランイェ公、オリバーレス伯、どうもありがとうございました。

ヘ: ありがとうございました。

オ: ありがとうございました。


★ここまでのエキサイティングプレイヤー★

Henri-turenne 2 テュレンヌ子爵アンリ・ド・ラ・トゥール=ドーヴェルニュ(フランス)

 若手ながら既にフランス軍の至宝との呼び声の高いユーティリティプレイヤー。守備はどこでもこなせ、攻撃も多彩。極度のあがり症のため、インタビューやファンとの交流に滅多に現れないのが玉にキズ。